企業のデータ・数字の何を見るべきか?

就職や転職を考えるとき、『会社四季報』や『業界地図』などの書籍、あるいはインターネットの就職・転職サイトで、企業の様々なデータや数字が出てきます。情報が限りなくあるため、「どのデータ・数字を見ればよいかわからない」という声をよく聞きます。そこで、「少なくともここだけは見ておこう」というポイントをお伝えします。

まず、企業が「株式市場に上場しているかどうか」を知ることが大切です。日本の上場企業数は、2023年4月現在、3,881社です。内訳は、東証プライム1835社、スタンダード1467社、グロース他600社です。(注:2022年4月から、東証1部・2部などから、名称が変更になりました。)

もちろん、上場していない(非上場の)優良企業もありますが、一般的には、上場企業は安定している優良企業です。また、上場企業の子会社(グループ企業)も、経営の安定という意味では、優良企業であることが多いです。

2つめは、売上規模です。上場企業の中で、売上3000億円以上は400社、売上1000億円以上は900社、売上100億円以上は2700社しかありません。学生や若者が知っている会社は、テレビでCMをやっていたり、就職人気ランキングに顔を出したりする、売上1000億円以上の“超大企業”がほとんどです。おそらく学生が知っている企業は、超大企業の中の200社程度で、学生の人気は、ここに集中しがちです。

そこで私は、「売上100-1000億円の上場企業が狙い目」だと思っています。売上1000億円未満でも、学生の知らない優良企業がたくさんあります。超大企業よりも、入社後に活躍できる可能性が高いかもしれません。

ちなみに、「就職人気ランキング」というのは、キャリアコンサルタントの間では、「ラーメンを食べたことがない人による、おいしいラーメン屋さんのランキングと同じ」と言われます。まだ働いたことがない学生が、「何となくこの会社が良さそうだ」と思うだけのランキングなので、実際に良い会社かどうかの参考にはなりません。まして、自分自身にとって良い会社かどうかは、自分にしか判断できません。ランキングなどは、気にしないようにしましょう。

3つめは、従業員数です。従業員は「500人以上」なら良いと思います。新卒の場合、新人研修をきちんとやってもらえるかは大事です。500人の企業であれば、20人程度の新卒同期社員がいるため、最初の研修も充実していることが多いでしょう。

4つめは、成長性です。最近5年間の売上が伸びているかは、見ておきたいところです。ただし、コロナ禍の影響を受けやすい業界(航空、旅行、ホテル、飲食店など)では、コロナの影響を差し引いて考える必要があります。

最後の5つめは、離職率です。これはいわゆるブラック企業かどうかを見る指標のひとつです。大学卒業後3年以内に離職する率は、平均30%が平均ですが、業界によって異なります。その企業が属する業界の平均と比較して、うんと高くなければ大丈夫ではないかと思います。

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