前項に引き続き、大学生や若者が安易に就職を考えがちな消費財系企業やB2C業界への注意事項です。
下記は、厚生労働省が2020年10月に発表した大学卒業3年後の業界別離職率の調査結果です。2017年3月に大学を卒業した人が、2020年3月までに離職した比率なので、2020年春からのコロナ禍の影響はほとんどありません。
3年後離職率が高い業界から見ていくと、1位は宿泊業、飲食サービス業で52.6%です。ホテル・旅館、飲食店、外食産業などの業界です。(因みに、2021年発表の同調査では、コロナ禍の影響もあり、61.6%に上昇しています。)
2位は生活関連サービス業、娯楽業で46.2%です。ここには旅行、冠婚葬祭、映画館、美容室、クリーニング、温浴施設、遊園地、パチンコ、カラオケなどが含まれます。3位は教育・学習支援業で45.6%です。これは幼稚園、学校法人、塾、語学学校、教育産業などの業界です。4位は小売業で39.3%です。ここには、百貨店、スーパー、コンビニエンスストア、ドラッグストア、家電量販店、携帯販売代理店、書店、ホームセンター、ディスカウントストア、リサイクルショップなどが入ります。
ここまでの上位(ワースト)4業界の共通点は、個人客が中心のB2C業界ということです。個人客が相手だと、どうしても週末や長期休暇の時期が忙しく、土日はあまり休めません。夜までの勤務も多く、シフト制などで生活も不規則になりがちです。また、B2C業界は競争が激しく、利益率が高くないため、給与も低いことが多いのです。B2C業界にあこがれる学生は多いですが、入社後にガッカリすることのないように、労働条件や就業環境をよく調べ、納得してから志望することをお勧めしています。
全業界の平均は、32.8%なので、3人に1人は、3年以内に離職しています。転職を特にマイナスに考えすぎる必要はありませんが、3年以内の離職は、その人にとってあまりプラスにはなりません。就職時にもっと業界研究をしておけば、かなりの人の早期離職は防げるのではないかと思います。