WLBとは
私は、株式会社ワークライフバランスの認定コンサルタントとして、企業や公的組織の働き方改革を支援する仕事もしています。最近は、ワークライフバランス(以下、WLB)という言葉を耳にする機会が増え、就職先を考える時、「WLBが良い会社」という希望を話す学生も多くなっています。
学生たちがWLBに求めているのは、「仕事が忙しすぎず、プライベートの時間も持てる企業で働きたい」ということでしょう。これは間違いではないのですが、WLBの本来の意味合いからは、少し離れています。
WLBの本来の意味は、ワーク(仕事)とライフ(生活)の適度なバランスをとることで、ワークにもライフにも良い相乗効果(シナジー)を生むことです。よくある誤解は、WLBを重視すると、ワークに悪影響が出るというものですが、片方が増えると、もう片方が減る訳ではありません。そのため、「ワークライフシナジー」という方が適切な言葉かもしれません。
ワークとライフの相乗効果
良い相乗効果は、次のように得られます。まず「ライフ」を充実させると、次のような良いことがあります。
- 十分な睡眠が確保でき、適度な運動ができ、心も身体も健康になる
- 家庭で過ごす時間が増え、家庭が円満になる
- 趣味や外部との交流で人的ネットワークが広がる
- 自己研鑽(勉強や読書)の時間が確保できる
そこから「ワーク」にも次のような良いことがあります。
- 健康な状態で仕事に取り組むことができるため、生産性が向上する
- 多様な経験ができることで、アイデアが豊富になり、企画力が向上する
- 業務を効率的にこなすことが日常的になり、ムダが改善される
- 職場のコミュニケーションにゆとりができ、人間関係が良くなる
このように、ワークとライフの両方にプラスに働くことが、WLB実現の本質なのです。
また、日本は、労働生産性が先進国では最低レベルに低いことが問題です。OECD加盟国の調査では、日本は米国、ドイツ、フランスなどより、30%以上、時間当たりの労働生産性が低い結果になっています。主な原因は、日本では長時間労働が美徳だったこと、チームの役割分担が不明確なこと、時間当たり賃金で働く労働者が多いこと、などが挙げられます。
最近は多くの企業で働き方改革が進み、長時間労働については、以前よりマシになった企業も多くあります。しかし、まだ先進諸国と比べ、取り組みが十分とは言えない業界・企業が存在することも事実です。