動機付けには、外発的動機付けと内発的動機付けの2つがあります。外発的動機付けとは、給与、地位、他人からの評価など、自分の外側から与えられる報酬です。一方、内発的動機付けとは、達成感、充実感、自己成長感など、自分の内面からわき出る報酬です。
居酒屋のアルバイトでモチベーションが続くのはどちらか?
現代では、内発的動機付けの方が、継続性が高く、より重要と言われています。例えば、学生の皆さんが、アルバイト先の居酒屋で時給が1000円から1050円に上がったとします(外発的動機付け)。数日間は、アルバイト先が自分を認めてくれたことがうれしくて、張り切って仕事をするかもしれません。でも、そのモチベーションは、長くは継続しないのではないでしょうか。時給1050円が当たり前になってしまうからです。
では、どのようなことで、居酒屋のアルバイトのモチベーションが高まるでしょうか。例えば、店長さんに「今日もよく頑張ってくれてありがとう」と言われたり、常連のお客さんに「今日もおいしかったよ」と言われたり、同僚の仲間と忙しい時間を助け合って「今日は忙しかったけど、何とか乗り切れたね」と笑顔で語り合ったり、といった職場だと、また頑張ろうと思えるのではないでしょうか。内的動機付けの方が、継続性が高いことがおわかりいただけたでしょうか。
内発的動機付けの3要素とは?
モチベーション理論で有名なエドワード・デシという米国の心理学者が、内発的動機付けを高める要素を挙げています。①主体性(自己決定感)、②有能感、③関係性の3つです。
①主体性(自己決定感)とは、「主体的に行動し、自分で判断を行い、自分の活動のやり方を自分で決定できると感じられること」です。「誰かにやらされている」のではなく、「自分からやっている」という感覚です。
②有能感とは、「仕事を通じて成果を出し、自分の能力の向上や能力自体へ高い評価をしている」感覚です。言い換えると、「誰かの役に立っていると感じられる」ことになります。
③関係性とは、「周囲と良好な人間関係を構築し、共同で仕事を行える」状態です。どの職場においても、人間関係が大事なことは、皆さんも想像がつくのではないでしょうか。
仕事においては、この3つの要素が満たされていることが、モチベーションを維持するために重要なのです。