お勧めの最後は、「最先端技術で社会に革新をもたらす業界」です(ここではIT関連以外の領域をとり上げます)。ロボット、次世代自動車(EV)、再生可能エネルギー、代替食品、宇宙開発などが良い例です。いずれも新しいテクノロジーを用いて、社会課題を解決していく領域で、高い成長性と将来性が期待できます。
ただし、最先端のビジネス開発を行っているのは、大企業の新規事業部門、またはベンチャー企業が多いため、新卒で採用されるには、理系で専門性をもっていないと、難しいかもしれません。一部には、営業職などで文系学生を採用している企業もあります。自分が興味のある領域で、就転職活動における「良い出会い」があれば、考えてみるとよいでしょう。
5つの業界例を挙げます。
(1)ロボット
産業用ロボットは、工場の製造・組み立て工程の自動化に使われるロボットで、日本が世界に誇る技術をもっています。ファナック、安川電機、三菱電機、不二越などが大手です。医療用ロボット、物流支援ロボット、ドローン、家族やペットのようなソーシャルロボットも有望な領域です。
(2)次世代自動車
世界でEV(電気自動車)へのシフトが加速しています。既存の完成車メーカーに加え、米国のテスラ、中国のBYDや上汽通用五菱汽車、オランダのステランティスなどが参入しています。自動運転技術の開発と合わせ、自動車部品やソフトウェアについても、多くの企業が開発競争を行っています。
(3)再生可能エネルギー
地球温暖化防止のため、2050年までにカーボンニュートラル(脱炭素化)を達成する目標があります。そのため、太陽光発電、風力発電、地熱発電、バイオマス発電などの開発・普及に関わる企業は、成長性があります。
(4)代替食品
世界の食料問題への対応、環境への配慮などから、家畜から別のたんぱく質への移行が進んでいます。大豆などの植物由来の原料や、微生物を使用した代替肉の市場が拡大しています。また、培養魚、培養エビ、昆虫食の開発も盛んです。
(5)宇宙開発
宇宙の商業利用のための開発が、世界で加速しています。日本はロケット開発では出遅れていますが、人工衛星や関連部品・データ解析の領域では、開発競争に参入している既存企業やベンチャー企業が数多くあります。
他にも、植物工場、高機能ドローン、空飛ぶ車なども有望です。「最先端技術の業界」は全体的に、世界での開発競争が激しいため、就転職においては、「自分がやりたい仕事に就けるか」、「ビジネスの継続性があるか」の見極めが大切です。