正解のない「VUCAの時代」とは:臨機応変な対応力が重要!

VUCAの時代とは

VUCA(ブーカ)と言う言葉を聞いたことがありますか?これは、変動性(Volatility)、不確実性(Uncertainty)、複雑性(Complexity)、あいまい性(Ambiguity)の英語の頭文字をつなげたものです。VUCAは1990年代後半に、米国で軍事用語として使われ始め、2010年代になって、ビジネスでも使われるようになりました。

1990年代以前の戦争は、A国対B国の戦いでした。AB両国の本部が作戦を立て、現場の軍隊が作戦を実行していました。ビジネスも同様に、経営陣が戦略を立てて、現場が実行していました。軍隊もビジネスも、組織形態はピラミッド型で、指示命令系統がわかりやすいものでした。

一方、1990年代後半に台頭したアルカイダ(注:2001年に世界同時多発テロを実行したイスラム過激派の国際テロ集団)のテロ行為を、米国とアルカイダの戦争と見た場合、以前のような戦いとは根本的に異なる状況でした。アルカイダの組織は、本部がどこにあり、実行部隊がどこにいるのかもよくわからないものでした。アルカイダの思想に同調した人たちが、同時多発的にテロを実行していました。これに対応する考え方として、VUCAという言葉が生まれました。

グローバル企業のVUCAへの対応

グローバル企業では、数年前から、企業のマネジメント会議などで、この用語を使い始めました。ビジネスでも、技術の進歩が急速で、グローバル化が進展し、将来予測が困難になっています。世界の市場は、不確実性や不透明さを増しています。企業は、この不安定な状況でも、経営判断をして、事業を成長させていかなければなりません。そこで働く個人も、それに対応できる能力を身につけなければ、生き残れないというわけです。

著者は、2016年初頭に、当時勤務していたドイツ系企業のカナダで行われたグローバル会議で、この言葉に出会いました。そのとき、進行役が挙げていた近い将来の不確実性の要因としては、「英国のEU離脱」と「米国トランプ政権の誕生」でした。ともに、そのときは、世界各国から集まっていた参加者のほとんどにとって「まさか本当に起こるとは思わない(起こってほしくない、考えたくない)こと」でしたが、その数か月後に、両方とも現実の話になりました。その後、英国のEU離脱は実行され、米国のトランプ政権は「米国中心主義」が国際社会の批判を受け、4年で幕を下ろしました。

さらに2020年には、「新型コロナウイルスCOVID-19のパンデミック」が起こりました。学校や企業のオンライン化が進み、東京五輪をはじめとするイベントは延期または中止になりました。そして、2022年2月には、「ロシアのウクライナ侵攻」が起こりました。世界中のエネルギー価格が上がり、平和維持のための枠組みが模索されています。これらはまさに、VUCA時代の象徴です。

個人はどうするか?

では、個人はVUCAの時代に、どうしたらよいのでしょうか。不確実性、不安定性が高い時代に合わせて、不確実な事象に対応できなければなりません。絶対的な「正解(ベストな答)」は、誰にもわからないので、「最善と思われるベターな答」を探し、臨機応変に対応できることが重要です。また、個人のキャリアについても、時代の変化に対応して、柔軟に変化し続けることが重要になると考えられます。

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