近未来の日本(2)「Society5.0」で、仕事はどう変わるのか?

消える仕事

若い皆さんの中には、「多くの仕事が人工知能(AI)やロボットに変わってしまうのではないか」と不安に思っている人もいるかもしれません。

2011年、ニューヨーク州立大学のキャシー・デビッドソン教授が、「現在のアメリカの小学校に入学した子どもたちの65%は、今は存在していない職業に就くことになるだろう」と指摘しました。これは日本でも紹介され、広く話題になりました。

「65%」の確からしさはともかく、過去20年余りの期間に、パソコン、インターネット、スマートフォンの普及で、多くの仕事が創出されたことは明らかです。次の20年には、AI(人工知能)、自動運転、VR(バーチャル・リアリティ)などの技術革新によって、社会に必要とされる仕事が急速に変化していくことは確実でしょう。

また、英国オックスフォード大学のマイケル・オズボーン准教授が、今後、10~20年で約半数の仕事が自動化される可能性を示しました。それを受け、日本の野村総合研究所がオズボーン氏と共同研究を行い、「人工知能やロボット等による代替可能性が高い100種の職業」を発表しました(下図)。

確かに多くの仕事がなくなっていきますが、不安に考えすぎることはありません。技術や社会の変化により、仕事はこれまでも変わってきたからです。

なくなった仕事、新しい仕事

ここでは「昭和時代の人気職種で、平成時代になくなった仕事」の例を挙げてみます。

  • 電話交換手: 昭和中期の花形職業の一つ。直通電話の普及で不要になった
  • 和文タイピスト、英文タイピスト: ワープロに置き換わった
  • エレベーターガール: 自動音声に置き換わった
  • 駅の切符切り: 自動改札になった
  • バスの車掌: ワンマン運転になった
  • 公共料金集金人: 電気、ガス、水道等の料金が自動振込みになった
  • 個人向け金融業務: 銀行の多くの業務がオンライン化した
  • 秘書、事務職: グループウェアやスマホの普及で、事務処理が個別化した
  • 駅弁売り、列車内食堂: 駅のコンビニや車内販売に代替された
  • タバコ屋、米屋、酒屋: 単体の店は残れず、多くはコンビニに転身した

一方、「平成以降にできた新しい仕事」の例を挙げていきます。

  • 携帯電話、スマートフォンに関するすべての仕事
  • オンライン販売、オンライン広告、動画配信など、インターネットでビジネスを行うすべての仕事
  • ウェブデザイナー、データサイエンティスト、ブロックチェーン技術者など、インターネットに関する技術の仕事
  • ユーチューバー、ブロガーなど、SNSで発信する仕事
  • ケアマネジャー(介護支援専門員)、介護士など、シニアに関わる仕事
  • セラピスト、キャリアコンサルタントなど、個人向けカウンセリング的な仕事
  • ネイリスト、ジムトレーナーなど、個人向けサービスの仕事
  • ドローン操縦士、ロボット開発者など、新技術に関わる仕事

このように、新しい仕事もたくさん生まれています。心配しすぎることはなく、時代のニーズに合った仕事に就くことを考えるとよいでしょう。

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