採用面接の準備をする前に、企業にとって採用面接はどのような意味合いがあるのかを考えておきましょう。まず理解しておくべきなのは、新卒社員を1名採用するのは、企業にとって「3―4億円の投資判断と同じ」ということです。
日本では、正社員を採用すると、会社の都合で辞めてもらうことは簡単ではありません。一人の生涯賃金は約3億円です。それに加えて、福利厚生費や諸経費がプラス30%程度かかります。したがって、ある学生を採用するか否かの判断は、3-4億円の投資と同様に、企業にとっても「真剣勝負」なのです。
また、採用活動そのものにもコストがかかります。1人の採用にかかるコストは、約100万円と言われます。リクナビやマイナビなどのサイト掲載、会社案内パンフレットや動画制作、企業説明会などの運営、OB/OGなどのイベント開催、SPI検査などの外部委託、エージェントなどへの外部委託、応募者の交通費や宿泊費などにコストが発生します。人事部や面接官の人件費まで計算すると、もっと多くなるでしょう。
新卒社員を採用後、3年以内に辞められると、企業は損をすると言われます。採用コストに加え、初年目には研修費用がかかります。1-2年目の社員は、上司や先輩社員にいろいろ教えてもらいながら仕事を覚えるので、人件費を含むと、1000万円近い投資になります。多くの若手社員は、1,2年目は企業からみると「赤字」です。3年目にやっとトントンになるイメージなので、3年で辞められると、上司や人事部はガッカリします。
それでは、面接では何がみられているのでしょうか。大別すると、以下の3点です。
- 社会人になる準備ができているか? ⇒ マナー、言葉遣い、人間性、社会人基礎力などを通じて判断されます。
- 当社のその仕事に合っているか? ⇒ 勉強、学チカ(学生のとき力をいれたこと)、自己PRなどへの質問を通じて判断されます。
- 当社を本気で志望しているか?: 志望理由、態度、雰囲気などから判断されます。
面接の目的を、面接官の視点で端的に表すと、「この若者と一緒に働きたいか、育てたいと思うか」を総合的に判断することです。企業は真剣なので、学生も真剣に面接練習、企業研究などの準備をする必要があります。