なぜ仕事(業界・企業・職種)研究が大切なのか?(2)知っている仕事は、世の中のごく一部!

次に説明するのは、学生や若者が知っている仕事(業界・企業・職種)は、世の中のごく一部にすぎないということです。

就活を始めるとき、学生が志望しがちなのは、消費者として接する商品サービスに関する業界(Business to Consumer、B2C)です。例えば、食品、日用品、化粧品、自動車、旅行、ホテル、観光など、自分が買ったことがあったり、テレビのコマーシャルで見たことがあったりする業界です。

あるいは、華やかそうな業界も志望者が多くなります。例えば、テレビ・出版・新聞などのマスメディア、広告代理店、航空やエアポート、ブライダル、コンサルティングなどです。これらの企業は人気があり、応募倍率100倍以上も普通です。チャレンジは良いことですが、世の中にはたくさんの仕事があるので、他の選択肢も考えていくと就活がラクになります。

別項で詳しく説明しますが、日本には約3900社の上場企業があります。経営コンサルや就職アドバイザーをしている私でも、そのうち1000社程度しか知らないと思います。まして、若者が知っている(聞いたことがある)企業は、200社から300社程度ではないでしょうか。

日用品のニトリという人気企業があります。リクナビのサイトには、プレエントリーという「その企業に興味がある」ことを示す機能があります。SNSの「イイネ」ボタンのようなものです。ニトリには、なんと13万人以上が、この「イイネ」を押しています。エントリー数は発表されないため、プレエントリー数からの推計で、ニトリには約3万人がエントリー(応募)すると言われます。これは、日本で就活する学生60万人の5%に相当します。応募者3万人に対し、採用数は300人なので、倍率は100倍です。

同様のことが、いわゆる人気企業では起こっています。したがって、仕事研究をして視野を広げ、自分が興味をもち、他の学生があまり気づいていない業界や企業に目をつけると、良いご縁につながりやすくなります。

私がお勧めしているのは、就活のエントリー時期(3年生の2月頃)までに、「3つから5つの業界」に絞り、各業界の大手から中堅までの企業をよく調べ、興味ある企業を各10社、計30-50社のエントリー候補企業を決めることです。これができた人は、就活が上手くいきます。この逆で、10業界の上位3社ずつエントリーするような人は、おそらく苦戦します。

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