新しい働き方(5)副業の解禁

ここでは、人生100年時代のキャリアを後押しする政府や社会のトレンドについて、まとめていきます。

まず、副業についてです。従来の日本社会では、所属している会社・組織にすべての時間とエネルギーを捧げることが美徳でした。副業は、兼業農家や実家の仕事を手伝うなど、限られた場合のみに認められていました。

しかし、日本政府は働き方改革やリスキリングの流れの中で、2018年に副業禁止規定があった「モデル就業規則」を改定し、2020年に「副業・兼業の促進に関するガイドライン」を改定しました。その後、副業を解禁する企業は、少しずつ増えてきました。

副業を行う従業員のメリットは、収入が増える、スキルや経験を積める、起業や転職の準備ができる、のように明らかです。仕事量が増えすぎて、健康やワークライフバランスを損なわないような注意は必要ですが、現在の仕事をしながら、次のキャリアの準備ができることのメリットは大きいです。

一方、企業にもメリットがあります。従業員のスキルアップが自社の仕事にもプラスになる、優秀な従業員の離職を減らせる、人材不足を解消できる、従業員のモチベーションアップにつながる、などが挙げられます。デメリットとしてよく言われるのは、情報漏洩リスク、離職リスク、生産性低下リスク(副業で疲れて本業に支障が出る)です。

大手企業ほどリスク管理に慎重で、副業を認めない傾向がありました。しかし2022年6月には、厚生労働省がさらに踏み込んで、「副業を制限する企業には、理由を開示する義務を設ける」と発表しました。政府が副業を推進するのは、成長しているビジネス分野(IT系、ネット系、ヘルスケア系)に人材を移動させることが主目的です。古い成熟業界に優秀な人材が囲い込まれていると、国家の経済成長にマイナスだからです。

経団連の調査では、2022年時点で、副業・兼業を認めている企業は53%、今後認める予定が17%で、計70%が認める方向です。今後は、就職するときに、「副業が認められているかどうか」、すなわち「転職リスクをとらずに、時代に合った次のキャリアのスキルや経験を積めるか」も、会社選びのポイントの1つになるでしょう。

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