それぞれの事業には、ライフサイクルがあります。通常、事業ライフサイクルは、①導入期、②成長期、③成熟期、④衰退期の4つの段階に分かれます。同様の事業を行っている企業の集まりが「業界」なので、これは業界にも当てはまります。
① 導入期は、新しい事業(ビジネス)を立ち上げ、市場性を模索している段階です。少数の先駆的(パイオニア)企業が、顧客ニーズを把握し、製品やサービスを作りこみ、市場の拡大を目指しています。個人向け宇宙旅行、ドローン宅配、空飛ぶ車などの新技術を活用した事業がこの段階です。
② 成長期は、新しい事業が顧客に受け入れられ、市場が急速に拡大していく段階です。多くの企業が新規参入し、製品やサービスが多様化し、売上が成長する一方で、競争も激しくなっていきます。多くのIT系・ネット系の事業、シニア層向けのサービスなどがこの段階です。
③ 成熟期は、市場の拡大が緩やかになり、売上や利益が安定する時期です。市場シェアや売上を伸ばせる「勝ち組企業」と、そうではない「負け組企業」に分かれていきます。日本国内の多くの事業は、長い成熟期を迎えています。国内人口が減少し始めているため、小売業、飲食業をはじめとする消費財系の事業は、成熟期から衰退期に向かいつつあります。
④ 衰退期は、市場が縮小していく時期です。それぞれの企業は、買収や企業統合といった経営革新や他事業への展開などで再成長を目指します。市場全体が小さくなっていくため、売上は減少傾向で、最悪の場合には、経営破綻が起こります。百貨店(デパート)、外食産業、造船業、地方銀行などがこの段階と言えるでしょう。
導入期、成長期の事業は、社内に活気があり、個人の経験としてもプラスになることが多くあります。一方、成熟期の事業は、当面は安定しているかもしれませんが、将来は明るくありません。衰退期の事業は、新たに就職や転職を検討する対象としてはお勧めしません。