厚生労働省などが発表している「日本人の平均寿命の推移」を検索してみると、人生100年時代が近づいていることを実感できます。
男性も女性も、現在の平均寿命は80歳をすでに超えています。将来の推計は、常に前提の置き方が難しいですが、人生を短くする主要な要因である悪性腫瘍(がん)や脳・神経系疾患(脳梗塞、アルツハイマーなど)の医薬品や治療方法が、続々と開発されつつあります。また、医療技術だけでなく、栄養科学・介護・リハビリテーションなどの領域も進歩が著しいこともよく聞く話です。皆さんの周囲でも、100歳を超える方が、あちらこちらで見られるようになったのではないでしょうか。
2022年の高齢者調査(厚生労働省)では、100歳以上の高齢者人口は、全国で90,526人でした。100歳以上人口は、1963年にはわずか153人、1981年でも1000人だったそうです。1998年に1万人を突破して話題になりましたが、それから24年で9倍に増えたことになります。
筆者の経験でも、徳島県の親せきは105歳、熊本県の親せきは101歳で天寿を全うしました。最寄り駅近くの写真店で証明写真を撮影してくれたおじいさんが、100歳と聞いて驚いたこともあります。私が子ども時代には、周囲で80歳を超える人も珍しかったのに、実に大きな変化を感じます。
ここで、クイズです。「皆さんご存知の、サザエさんのお父さん、磯野波平さんは、何歳か知っていますか?」
あの髪の毛が少なく、よく着物を着ているお父さんです。正解はなんと驚きの「54歳」です。おそらく現在のテレビ視聴者の大多数が思っているより、かなり若いのではないでしょうか。これは、サザエさんが全国的になった1960年頃(昭和30年代)の日本では、企業の定年が55歳、男性の平均寿命が65歳でだったためです。波平さんは、定年間近の典型的なサラリーマン、というキャラクター設定でした。もう少しで定年を迎え、孫のタラちゃんと遊び、囲碁や釣りを楽しむ悠々自適の生活を送り、おそらくあと10年程度で寿命を迎えるのでしょう。
ちなみに、現在54歳の芸能人は、福山雅治、名倉潤、的場浩司、吉田栄作、井森美幸、菊池桃子、富田靖子、松下由樹、大塚寧々といった方々です。まだまだ働き盛りで、波平さんのイメージとは大きく違いますね。
要するに、昭和時代のサラリーマンは、一つの会社で勤めあげられることが多く、キャリアチェンジを考える必要もなかったのです。一方、現在のサラリーマンは、55歳から、まだ40年以上もの時間が残されています。100年近くの人生を充実させるため、自分のキャリアを、適切なタイミングで、深く考えていく必要があります。