なぜ仕事(業界・企業・職種)研究が大切なのか?(1)完璧な会社は存在しない!

就職活動では、自己分析(自分を知ること)と合わせて、仕事研究が大切です。なぜなら、完璧な会社は存在しないからです。

多くの学生は、「有名企業で、給料が高くて、仕事のやりがいがあって、成長性があって、残業が少なくて、転勤がなくて、土日休みで、子育てしやすそうで、、、」といったことを考えます。でも、世の中にそんなに都合の良い会社はありません。

前項で、「就活はパートナー探しと似ている」と書きました。これは男性に例えると、「カッコよくて、やさしくて、背が高くて、高収入で、趣味が合って、、、」という相手を探すのと同じです。仮にそんな男性がいたとしたら、女性にモテるので「すぐに浮気する」かもしれません。

しかも、就活は、短期決戦で、「誰か(少なくとも1社)」と相思相愛(両思い)にならなければなりません。3年生の後半からの数か月で、自分が好きになり、相手も自分を気に入ってくれる会社と出会う必要があるのです。そのためには、仕事研究をして、「自分は何を重視するか=“就活の軸”を決めること」が、重要なのです。

ここで、仕事研究には、業界、企業、職種の3つのレベルがあることを説明します。

まず「業界」とは、事業内容が同じ企業の集まりです。例えば、金融業界、自動車業界、建設業界、小売業界、旅行業界などです。金融業界を、銀行業界、保険業界、証券業界などに細分化することもあります。就活では、銀行業界をさらにメガバンク、地方銀行、信託銀行、オンライン銀行、外資系銀行のように分けて考える必要があります。

次に「企業」とは、会社のことです。小さい会社は事業内容が理解しやすいですが、大企業の事業領域は多岐にわたり、グループ企業(子会社、関連会社)も多いので、わかりにくいものです。例えば、NTT、ソニー、ソフトバンク、リクルートといった大企業は、自分が興味ある事業を、どの事業部やグループ企業が行っているのかを知る必要があります。また、採用活動をグループ全体で行う企業と、個別の事業部や子会社ごとに行う企業があります。

3つめの「職種」とは、企業内で行う仕事内容の分類です。例えば、営業、販売、企画、人事、総務、広報、生産、技術、情報システム、研究開発などがあります。営業の中でも、法人向け(B to B)営業と個人向け(B to C)営業、あるいは既存顧客中心のルート営業と新規開拓中心の営業に分かれます。従来の日本企業は、新卒社員は総合職として一括採用して、職種は入社後に決まるのが一般的でした。しかし最近は、専門性の高い職種が増えたことや、入社後のミスマッチを減らす目的で、職種別採用をする企業も増えてきました。

したがって、業界、企業、職種の3つの視点で、自分の興味ある領域を調べていく必要があるのです。

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