Z世代が生きていく時代とは:100年生き、60年働く時代

人生100年時代とは

最近、「人生100年時代」という言葉をよく聞くようになりました。これは、2016年に、ロンドン大学教授のリンダ・グラットン氏らの著書、『ライフシフト 100年時代の人生戦略』が出版され、ベストセラーになったことがキッカケです。

図は、この本で示されたキャリアモデルを、日本社会向けに模式化したものです。まず上段の「昭和時代のキャリアモデル(昭和モデル)」は、Z世代の皆さんのおじいさん・おばあさんの時代です。当時は、多くの人は20歳前後まで教育を受け、その後、企業勤めであれば定年の55歳まで30年余り働き、65-70歳で寿命を迎えました。

戦後の日本は高度成長期になったこともあり、一つの会社、一つの職種で、あまり大きなキャリアチェンジをする必要もなく、新卒で入った会社に人生を預けていれば、平均的な幸せが手に入った時代でした。

中段の「平成時代のキャリアモデル(平成モデル)」は、筆者の山岸や皆さんのご両親の時代です。平均寿命が大幅に伸びたため、20歳前後までの教育の後、定年も延び、60-65歳まで40年働くようになりました。引退後の余生も長くなり、85-90歳で寿命を迎えるのが平均的です。現在の中高年の多くは、年金制度が危うくなり、定年延長や再雇用で、70歳以上まで働かないといけないという不安に駆られています。また、お母さんは、外で働くお父さんを支える専業主婦の家庭が過半数でした。

令和モデルはマルチステージ

そして下段の「令和時代のキャリアモデル(令和モデル)」が、皆さんの時代です。詳しくは別項で説明しますが、医療などがさらに進歩することで、先進国の平均寿命は100歳を超えると予想されます。仕事の期間も延び、20歳前後から80歳頃まで、約60年間、働く必要があります。昭和時代の2倍の期間、働くのです。

寿命が延びて、長く生きられるのは、もちろん素晴らしいことです。そこで皆さんの世代に必要なのは、途中で何度か「学び直し(リスキリング)」や「仕切り直し」をして、別のスキルを身につけ、時代ニーズに合った仕事・職種に自分を変化させていくことです。ある仕事をしながら、副業で別の仕事をしたり、NPO(非営利組織)や地域でのボランティア活動をしたりすることで、次の仕事に必要な新しいスキルを身につけたり、人的なネットワークを拡げることができるかもしれません。

グラットン教授は、この変化を「教育⇒仕事⇒引退」の3ステージから、「教育⇒仕事1⇒仕事2⇒仕事3⇒仕事4⇒仕事n⇒引退」の「マルチステージ化」と述べています。つまり、一人ひとりが「人生の主人公は自分」として、60年働き、100年生きるキャリアを主体的に考えることが必要なのです。これが、「人生100年時代」です。

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